【白玉粉品切れ】大福転じて抹茶寒天【まあいいか】

今日こそは大福作るぞ!と朝から意気込み、近所の日系スーパーマーケットに白玉粉を買いに行きましたが、見事に品切れでした。残念。

まあ、涼しくなったとは言え30度超えの夏日でしたので代わりに寒天を買って抹茶寒天を〆のデザートにすることに決定しました。

 

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では作り方覚え書き。

 

材料: 

寒天 10g

水  600cc

蜂蜜  大さじ6

* 水100ccにつき蜂蜜大さじ1の割合

抹茶 大さじ1

 

作り方:

1) 寒天は分量の水でふやかしておく

2) 水とふやけた寒天を火にかけ煮溶かす

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3)寒天が溶けたら蜂蜜を入れる

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4)蜂蜜も寒天水に溶けたら抹茶を投入

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5)お好みの型に入れ固めて出来上がり

 

冒頭の写真は賽の目に切った抹茶寒天とナタデココとココナツクリーム、枸杞の実を添えました。

 

大福は作ったら新鮮さ勝負みたいなところがありますが、寒天はタッパーに入れれば何日か保存できるので週末の作り置きチームのレギュラーに昇格させることに決めました。

 

 

 

【砂糖なし】豆を使わないあんこでケーキ【簡単】

連休なのでここぞとばかりお菓子をキッチンで作っています。

今日の作品はナツメヤシのケーキ。

昨日作った紅ナツメの蜂蜜煮を添えました。

お砂糖無しでも甘いです。


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じつは最初は大福もちを作ろうと思っていたのですが、今朝、不覚にも小豆をふやかすのを忘れたので、急遽ナツメヤシであんこもどきを作ってみました。

 

☆材料はナツメヤシ200g(あらかじめかぶるくらいより少なめの水でふやかし種をとり粗く刻む)をシナモンパウダー大さじ一杯とフードプロセッサーにかけるだけです。

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さて、大福を作るぞ、と意気込みましたが、やらかしてしまいました。白玉粉を買っておくのを忘れてた。

 

そこで急遽、即席ケーキにレシピを変更したのです。

 

材料: パウンド型 (21 x 9x 5cm を使用) 一本分

☆  ナツメヤシのあんこ 200g

 

*ココナツフラワー  1 カップ

*アーモンドフラワー 1カップ

*ベーキングパウダー 大さじ1/2

*ベーキングソーダ  大さじ1/2
*ココナツオイル          大さじ一杯

 

(補欠) 甘くない炭酸水

* もし生地がココナツフラワーのせいでボソボソしていたら炭酸水を大さじ一杯から二杯くらい加えて下さい

 

作り方は簡単です。

☆と*の材料をボウルで合わせる

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ひたすらよく混ぜる

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パウンド型内側に薄く分量外のオイルをなじませ、オーブンシートを敷いて生地を投入

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170度のオーブンで30分焼く

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竹串などを刺してみて何も付かずに軽く抜き取りできたら出来上がり

 

自然に熱が冷めたら切りやすくなります。

 

香港の連休は今日が折り返し、残り2日のうちに大福もち制作のリベンジが目標になりました。

 

 

 

 

 

 

 

【中秋節快樂】ふえる白キクラゲちゃん【中華甜品】

香港は今日から四連休、秋の恒例、月餅を食べる日です。

しかし。二週間くらい前から勤務先で何かとスタッフに月餅🥮が何度も臨時支給され、パントリーのスナックコーナーにも月餅が山盛り放置(誰も食べないから)今は月餅を見るとお腹いっぱいを超越し食品ではない別の物体に見えるまでになりました。

実は、昨年は勤務先から全スタッフに月餅チケットが支給されたのですが、一部香港ローカルスタッフが今年は月餅券はやめてくれと猛烈抗議し、結果として200香港ドルぶんのスーパーマーケット券が配布されました。

昨年、頂きものの月餅を1か月間毎日3~4個食べ続けた人が深刻な高脂血症になったというニュースがありましたので、そういった情報から健康オタク傾向の強い香港人の間でアンチ月餅ムーヴメントが起きているのかもしれません。

 

さて、今日のデザートは旬の梨と雲耳(白キクラゲ)と棗や枸杞を使ってさっぱり味の糖水(甘いスープ)です。

白キクラゲをふやかしてドライフルーツと蜂蜜を加えて鍋で煮込むだけ、簡単です。

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では作り方。

材料  2人前

 

梨 一個

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白キクラゲ お好みの量 

今日は大さじ三杯ぶんくらい

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紅ナツメ 大さじ二杯

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枸杞   大さじ二杯

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龍眼   大さじ二杯

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*乾燥しているとホタテの干物に見えなくもないですが、水に戻したあとは、ほぼ殻を取ったあとと変わらない奇跡の復活をするドライフルーツです

 

蜂蜜 大さじ三杯

今日は西藏の固形蜂蜜を使いましたが

普通の蜂蜜でも無問題

 

作り方:

1) 白キクラゲを水でふやかす

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しばらくすると

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よくふやけました

 

2) 梨は皮と芯をとり食べやすい大きさに切る

 

3) 鍋に白キクラゲともどした水、梨、その他の材料を入れる

この時全ての材料がかぶるくらいの水量に至っていない場合には水を足す  

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4) 鍋に蓋をして25-30分くらい煮込む

 

5)煮上がったら蓋をしたまま冷めるまでおいておく

 

話は変わりますが、私は靴下マニアです。

職場はフォーマルな服装をする必要がないので、学生の頃と変わらずジーンズにスニーカーで通勤しています。

先日、日本語を編み込み模様にした靴下を見つけた話を紹介しましたが、つい、誘惑に負けて自分用に購入してしまいました。

レディースゴルフ機能ソックス、280円らしいです。

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足の裏のほうには

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金色が出たら大当たり!

 

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謎のコンセプトの図柄

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正しい杏仁豆腐の名称と材料が記載されていますが、何故足の裏の部分に編み込みなのか、これまた謎

 

新しい靴下のおかげで連休明けは楽しく出勤できそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Made】香港の農業産品でお惣菜【in Hong Kong】

唐突ながら、香港というところは農産地域ではありません。食料自給率は1%程度で、スーパーマーケットや食料品店、コンビニ、どこでも輸入食料品を容易く発見できます。

とは言え、香港の北西部の元朗(Yuen Long)などでは、香港が成り立つ前から農業を営みながら住んでいる客家(Hakka)の子孫の人々が先祖代々の土地で葉野菜、根菜、スイカ、落花生、とうもろこしなどを作り続けています。

また、養蜂や畜産農家も多くはありませんが、

香港市内のマーケットに香港産食料品を供給しています。

そこで今週末のテーマは全て香港産の材料でお惣菜を作ってみよう、と決めました。

 

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今晚嘅菜單

蒜香花生芽炒豬碎(ピーナッツもやしとポーク挽肉のガーリックハニーソテー)、椰絲烘磨菇拌椰菜仔西芹(マッシュルームの塩ココナツ焼きと芽キャベツ、セロリの塩味ロースト)、紅頭菜水蜜桃沙律(ローストしたビートルートと桃のサラダ)、茄子玉翠瓜蕃茄湯(茄子ズッキーニトマトのスープ)、雑穀炊込飯(ジャスミン米、燕麦、もち麦、キヌアの炊き込みご飯)、洛神花茶(ハイビスカスのお茶)

 

全部香港産品、と意気込みましたが、お塩やお米、油、シュレッドココナツなどは日本やマレーシア産です。

日本のように、お料理の材料が全て自国製品で賄えるというのはすごいことだとしみじみ思います。

 

では今日の主菜、蒜香花生芽炒豬碎の覚え書き。

 

材料:

ピーナッツもやし 1パック

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香港特産です

 

挽肉 1パック 約160g

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香港産です

 

ニンニク ひとかけ

 

油 大さじ一杯程度

 

☆ オイスターソース 大さじ一杯

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これも香港産

 

☆蜂蜜 大さじ一杯

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香港産

蜂と戯れるおじさんの養蜂園は香港の北側の粉嶺(Fang Ling)にあります

 

 

☆お醤油 大さじ半分くらい

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香港産

 

☆黒酢 大さじ半分くらい

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香港産

 

☆印の調味料は合わせておく

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作り方:

1)ニンニクひとかけは薄切り、もやしはヒゲ根をとり食べやすい長さに切っておく

 

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2)鍋に油を熱しニンニクを投入

香りが出てきたら挽肉を入れ火が通るまで炒める

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2)挽肉に火が通ったところで☆印の合わせ調味料を加える

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水分が少なくなるまで加熱する

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3) 水分が少なくなったらもやしを投入

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よく混ぜ合わせて1-2分加熱を続行

4) 火を止め蓋をして余熱で蒸らす

5) 出来上がり

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*☆の調味料に辣椒油大さじ一杯を加えると麻婆もやしになります

*もやしはピーナッツに限らず普通のもやしでも大丈夫です

*もやしを入れるタイミングは必ず最後、加熱は短期決戦で

 

おまけその1

 

副菜、椰絲烘磨菇拌椰菜仔西芹の覚え書き

 

材料: 

マッシュルーム 1パック

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これも実は香港産なのですよ

 

塩 適量

 

シュレッドココナツ 大さじ2-3杯

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マレーシア産でしたわ…

 

作り方:

1)マッシュルームは四つ割り

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2) ポリ袋に塩、シュレッドココナツ、マッシュルームを入れ、よく馴染ませる

3) 天板にアルミホイルを敷き、2)を広げてオリーブ油(分量外)を回しかけ、180度のオーブンで25分程度焼く

 

おまけその2

今日のデザート

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抹茶ではありません。

 

アボカドのアイスクリーム

材料はアボカド小4個、ココナツクリーム200cc、蜂蜜大さじ4、レモン汁半個ぶん

 

作り方は8月30日の記事の桃のアイスクリームと同じです。

 

今日も美味しくご飯を頂けて良い日曜日でした。香港農産物は、有機無農薬栽培にこだわる農家の方々が多いので美味しいです。

私の住まいの近くには、香港産無農薬農産物を販売している八百屋さんがあり重宝しています。

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アロエは一株丸ごと陳列されています。

次回はアロエに挑戦の予定です。

 

(つづく)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【秋近し】胡瓜炒めが似合う季節到来【温野菜】

日を追うごとに朝夕が涼しくなり、私の場合は食欲の夏が相変わらずのまま天高く馬肥ゆる秋に突入しつつあります。

要は季節に関わらず美味しいご飯を食べたいのが常なのですが、私は秋から短い冬にかけては何故か温野菜がやたらと恋しくなります。

そういう訳で今日の夕飯は胡瓜の炒め煮を作りました。

 

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今晚嘅菜單

青瓜雲耳炒鶏肉(胡瓜、キクラゲ、鶏肉の炒め煮)、蕃茄牛油果沙律(トマト、アボカド、ケールのサラダ)、西蘭花蕃茄湯(ブロッコリーとトマトのスープ)、白飯、洛神花茶(ハイビスカスのお茶)

 

主菜 青瓜雲耳炒鶏肉の覚え書き

 

材料: 2-3人前くらい

鶏肉 半隻 (注: 一昨日ローストチキンを作った残り)

*お肉は種類も量もお好みでどうぞ

*お肉ではなく、腐竹(中華版湯葉)や水分の少ない固い豆腐、ベジタリアンハムなどで作ることもあります

 

胡瓜 大きめのもの一本

 

生キクラゲ 大判二枚

 

冷蔵庫に残っていた椎茸6個にも出動してもらいました

 

調味料:

 

塩 適量

 

☆白腐乳 1.5cm 角のもの 一個

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*前回は赤い色の南乳でしたが今回は豆腐の色合いそのままのタイプです。

腐乳一族はめちゃくちゃ塩辛いので、少なめの量を加えるところから始めて、足りないようならちょっと足す、という使い方をしています。

 

 

☆白いお酢 大さじ一杯

 

☆蜂蜜またはメープルシロップまたはお好みの甘味 大さじ半分くらい

*今日は蜂蜜を使いました

 

お好みの植物油 適量

 

ニンニクのフライ 小さじ半分くらい

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*香港では日本の揚げ玉のように麺類に添えて食する人も多數

*普通のニンニクをひとかけ、細かく切って使っても美味しいです

 

 

 

作り方:

 

1) 胡瓜は四つ割り、キクラゲは食べやすく切る

椎茸は軸を切り離し、かさの部分を幅5mmくらいに切る

軸は石付きを取り、食べやすい大きさに切る

調味料のうち☆印のものを合わせて良く混ぜておく

 

 

2) 1) の野菜をボウルなどに入れ、塩小さじ一杯とニンニクフライを振り、よく混ぜたあと休ませておく

 

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3) 鍋に油を熱し、鶏肉をまず炒め、少し色が付いたら野菜を投入、☆印の合わせ調味料と水50ccを加え、蓋をして5分くらい中火で加熱する

クツクツ音がしてきたら火を止めて蓋をしたまま冷ます(煮汁の味を染み込ませる)

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4) 出来上がり

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おまけ:

今日のデザート

 

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サツマイモと春巻皮で作ったきんつばもどき

 

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作り方は、あらかじめ焼き芋(蒸し芋でも無問題)を作っておき、1cmくらいの厚さに切り、春巻皮で包む

焼く前に切っておく

170度のオーブンで3-4分焼き、ひっくり返して1-2分

軽く焼き色が付いたら出来上がり

 

今週ものんびり家で夕飯を食べて無事終了、週末の食料買い出しのエネルギーを蓄えました。

めでたしめでたし。

【材料2つ】椰棗炆紅豆(棗椰子入りゆであずき)【全自動】

9月に入り、香港の朝夕の気温は25度くらい、だいぶ涼しくなってきました。 

涼しくなると、焼き芋やゆであずきのような、ほくほくしたものが恋しくなります。

そういう訳で、今日は紅豆(あずき)を茹でようという気になったので、朝から準備をしました。

材料はあずきとナツメヤシのみで、お砂糖類を入れなくても自然な甘味がついてます。

 

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いきなり出来上がり図:

ナタデココ、ぶどう、ブルーベリーにゆであずきを添えてあんみつもどき。

 

では材料と作り方。

 

材料:

あずき 一合

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ナツメヤシ 今日はあずきの2倍

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作り方:

1) あずきは洗っておく

   ナツメヤシは種がある場合は種をとり、荒く刻む

 

2) あずきとナツメヤシを炊飯器に入れ、600ccの水を加え、8時間タイマーで炊飯モードにセット

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3)一回目の炊飯が終わったら一旦蓋を開け

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もう一度余裕でかぶるくらいの水を加え

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二回目の炊飯モードで炊く

 

4)出来上がり

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* ナツメヤシのほかにも、甘栗、干したイチジク、干しぶどう、ドライクランベリーなどで作るのも美味しいです。(実験済み)

甘味の強さはドライフルーツの量で変わりますので、お好みで加減してください。

*用途としては、

-自家製アンパンやトーストの具にする

-パンケーキやお餅にに添える

-寒天やアガーで水羊羹をつくる

-馬蹄粉で紅豆糕をつくる

のようにその場の思いつきで消費してます。

 

 

 

 

 

もののあはれ//いとをかし

今週のお題は「読書感想文」、ということで、たまには祖国日本の古典文学を、しかも雅な平安女流文学の双璧(と言われてると思う)、源氏物語と枕草子とを久しぶりに再読した感想文を書いてみることにする。

 

まずは日本最古の大河恋愛小説、源氏物語。

中学生の頃、私はこの作品の良さが理解できなかった。

光源氏は帝の後継ぎではないけどとりあえず息子なので高貴なお方、何をしても所作が優れており美しい輝きがあたりに広がる、という設定には、お前はピカチューか?と突っ込んでいた。

そして物語も共感できると思えなかった。

人妻(空蝉)に夜這いしてストーキング、義理母(藤壺)との間に不義の子(のちの冷泉帝)を作る、幼女(紫の上)を実質誘拐連れ去り、腹違いの兄(東宮のちの朱雀帝)のお妃候補(朧月夜)と節操なく関係してしまう、さらに奥さん(葵の上)は浮気相手(六条御息所)の生霊に呪い殺されるオカルト案件発生、その他にもいろいろと中学生当時の私にとっては衝撃的なエピソードが繰り広げられ、私はすかさず光源氏にヤバい人認定をしたのだった。

ところが今読んでみると、中学校時代には受け入れ難かった事柄も容易に理解できる自分に気がつく。

平安時代は一夫多妻が普通だったこと、光源氏は華やかな特権階級生活を送る反面で権力争いからストレスで心労の多い人生を送っていたこと、人気者の光源氏とお付き合いして舞い上がっていた朧月夜が最後には冴えない朱雀帝の方が自分のことをより深く思ってくれていたことに気づくこと、若い頃には光源氏と遊び仲間だった頭中将が年をとったら政敵に変わってしまったこと、正妻格の紫の上が晩年は光源氏が他の女のもとに通ったり女三宮を嫁に貰ったりしたのを気に病んで命を削ってしまったこと、などなど沢山の登場人物が時間の移り変わりに従って有り様を変化させていく。

源氏物語は光源氏という貴公子と彼にまつわる人々を描いたようでいて、実は紫式部の目を通した仏教的世界観が綴られていると私は思う。

もし紫式部が現代に生きていたのなら、映画、TVやスマートフォンのない時代の恋愛娯楽長編大作として源氏物語を書いたのか、隠れ仏教文学としてなのか是非聞いてみたい。

 

次に、紫式部とライバル関係にもあったらしい、清少納言の枕草子。

こちらは、中学生当時の私にはたやすく受け入れ共感できる内容だった。

例えば、朝の仏教の講話の時、お坊さんがおじさんだと眠くて辛いけど若いイケメンのお坊さんなら熱心に拝聴する、とか、雪が降った時に中宮さまが『香炉峰の雪はどのような感じなの?』と尋ねられたので御簾を高くかかげて見せるという白居易先生の名句**を実演する機転とユーモアに、この人は友達になれる!と思ったのだ。

**香 炉 峰 雪 撥 簾 看

清少納言の歯切れの良い本音に対する私の共感は中学校当時から変わっていない。

身の回りのもの、季節や自然、日常生活全てについての筆者の好奇心は、読者にも伝播しさらに新しい好奇心を作りだす。

清少納言という人は、毎日を楽しむ達人だったのではないかという気がする。

 

源氏物語は映画のように登場人物の織りなすドラマを眺めるように進行する一方、枕草子は筆者・清少納言の視点がズームアップされては次の対象物に移っていく。

まるで正反対の二つの作品であるが、どちらも日本語の繊細な表現力を駆使しているという点では共通していると私には思われる。が、そんなことを言ったら紫式部と清少納言両方から、『一緒にしないで、私の方が上手に決まってるでしょ!』とクレームされてしまうかもしれない、と妄想したところで今日の読書感想文はお開きにします。

 

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(特別出演)今日のオダリスク嬢